サードカルチャー子育て

故郷はどこ?サードカルチャーキッズのために親ができること

はじめまして!

あなたはサードカルチャーキッズもしくはサードカルチャーキッドという言葉をきいたことがありますか?

あまり日本人にはなじみがないですよね。

しかし、我が家にはサードカルチャーキッドアダルトサードカルチャーキッドがいます。

それは、我が家の旦那と1歳になる一人息子です!

アティカ
アティカ
つまり我が家は私以外全員サードカルチャーキッド!世の中でこれらはマイナーだと思われがちですが我が家ではむしろ私の方がマイナーです…!

私の旦那と息子の経歴はこんな感じです↓

旦那
旦那
両親ともに台湾人。父親の仕事の関係でタイで生まれ、義務教育中はアメリカで育ち、台湾へは1-2年ほど住むも家族でタイに戻り、最終学歴の大学はタイの国際大学を卒業している。
息子
息子
台湾人パパと日本人ママのハーフ。2019年、親の仕事の関係で香港で生まれる。

この記事では私が実際に旦那を第三者視点から見て学んだ、サードカルチャーキッドの特徴・苦悩をもとに私が自分の子育てにどのように生かしているかをご紹介します。

こんな方に読んでいただけると嬉しいです!

  • 海外で子育てをしていてこのまま現地で暮らすことが長くなるので子供の日本人としてのアイデンティティを心配している方
  • ハーフの子供を育てていて子供の故郷について心配している方
  • 海外駐在などで一時的に海外で子育ていて今後帰国したときに子供がどんな悩みを抱えるか不安な方

この記事を読むとこんなことがわかります。

  • サードカルチャーキッズの定義
  • サードカルチャーキッズが大人になったときにどのような悩みを持つのか
  • その悩みを事前に把握し親はどう対応すべきか

それではさっそくいきましょう!

サードカルチャーキッズについて

まず、サードカルチャーキッズというのは、デビッド・C・ポロック先生というハウストン大学の教育学の名誉教授がこのように定義しています。

サードカルチャーキッズってなに?

人格が形成される、生まれてすぐから18歳までの間に親の文化圏ではない海外で育った経験を持つ子供

そして、デビッド・C・ポロック先生はこうも言っています。

このような子どもは親の文化を第一文化として、今生活している圏内の文化を第二文化と仮定したときにこの二つの文化の狭間で自分だけの第三文化を形成する

アティカ
アティカ
たしかに、私は家で子供に日本語で話しかけて、家のものは日本製品であふれているし、食事も納豆や味噌汁を飲ませているけど一歩家の外に出れば広東語と英語が飛び交う香港。この二つの文化を吸収力のいい子供はどちらも自分の育つ文化として融合させていくんですね!

帰国子女とは違うの?

帰国子女というのはあくまでも親の都合などで海外で生活をしたことのある子供たちという意味で使われることが多く、育った環境の文化やそれに対する心への影響という意味を含んでいる言葉ではありません。

つまり、帰国子女もサードカルチャーキッズに当てはまるし、サードカルチャーキッズの中には帰国子女やそれ以外にもずっと海外を転々として暮らしている日本人やハーフで親の文化と今住んでいる国の文化が違う子も含まれるんです。

アダルトサードカルチャーキッズって何?

アダルトサードカルチャーキッズとは、大人になったサードカルチャーキッズです。

何が問題なの?

別にサードカルチャーキッズやアダルトサードカルチャーキッズが問題であるわけではないです。むしろ彼らは本当に素敵な、本当の意味での多様性を身に着けていて、島国文化である日本で育った私から見てもとても魅力的です。ただ、たとえ1年でも2年でも海外で育ったサードカルチャーキッズが将来日本に帰ると、その子の人格形成には海外での暮らしが少なからず影響しているので物事に対する考え方や視点が、日本でずっと育った人とは違うことがあるんです。

どんな悩みを持っているの?

たくさんあるんですが、私が旦那を見ていて一番興味深かったのは【Where are you from?】という質問に対する答え方です。おそらく本人もこの質問を毎回初めて会う人にされる中で自分で消化しきれない部分がありたくさん考え抜いた結果だと思うので、詳しくお話ししますね。

Where are you from?と聞かれたら

まず、私の旦那は出会った頃はこんな風に言っていました。

20代の頃の答え

私は24歳で旦那と出会っているのですが(旦那と私は同じ年生まれ)、この頃はこう答えていました。

  • 相手が台湾人でもタイ人でもアメリカ人でもなければ台湾と答える
  • 相手がタイ人なら自分もタイ出身だと答える
  • 相手がアメリカ人なら自分もアメリカ出身だと答える
  • 相手が台湾人なら自分も台湾出身だと答える

つまり、相手が最も親近感を覚えてくれる答えを言っていました。そしてどれにも当てはまらない相手の場合は自分の見た目から最も納得してもらえる答えを言っていました

アティカ
アティカ
その後に続く会話を考えたうえで一番面倒臭くならず、かつ会話が盛り上がるように自分の出身を変えて答えていたんですね!

私は日本生まれ日本育ち、両親も親戚も全員が日本人の超絶ドメスティックファミリーなので最初は相手によって自分を変えるという技に驚きを隠せませんでした!

30代の現在の答え

では、そんな旦那は30台になった今、香港で暮らしていてあなたはどこ出身かと聞かれたときに何と答えるのでしょうか。

I ‘m from Thailand.

そう、今は大体どんなシーンでもタイで統一しています。それって心境の変化があったということですよね。詳しくその理由について聞いてみました。

結論:親のいるところが自分のホーム

まず、旦那に理由を聞くとこういいました。

いろんなところを転々として、どこも自分のホームじゃないと正直思ってる。でも親のいる家は自分のホームなのは変わりないでしょ?だから今、両親が住んでいるところ=実家を出身地だっていうことにしたの

これを聞いたとき、すっごく納得しました!

だってアメリカに行ってもアメリカ人ほど愛国心が強いわけでもないし、台湾に帰ってもほぼ住んでいないので中国語はネイティブみたいには話せないし、タイの文化もそんなに詳しくなければタイ語が話せるわけでもないし…言葉や文化の両方から見ると彼にとって自分が自信を持って言える故郷は実家なんです。

私が子育てに取り入れているポイント

これらのアダルトサードカルチャーキッズである旦那の意見を、私はこんな感じで育児に取り入れています。

家族は社会の最小単位・無条件に帰属できる場所にする

子供は親からの無償の愛を受けて育ちますよね。私たちはどんなことがあっても子供のことを愛していると思っていても子供はとっても繊細な生き物なのでちょっとした言動で傷ついたりします。まずは無条件にここにいてもいいんだと強く思えるように工夫することが大事だと思っています。

大好き!10回の魔法 LOVE

私は1歳になる息子に、生まれてから毎日「大好き!」を最低10回は言うようにしています。旦那がアメリカ育ちなのできちんとI love youを言葉に出して言える人が近くにいるということも大きいと思います。

例えば、朝起きたとき。子供が何かにイライラしていてずっと泣いているとき。お風呂に入りながらなど、いつでも言います。

ただ、やっぱり仕事で毎日疲れているのに朝4時半から子供が覚醒してしまったり、少し動くようになってくると食べ物を床に投げて散らかしたりイラっとしてしまうこともあるんです。それでもそんな自分を反省して、大好きを心から伝えるようにしています。

息子は、1歳を過ぎてから大好きといわれるとニマ~っとして、照れるような反応を見せるようになってきました。大好きの意味を少しずつ理解してくれているんだと思います!

人前で子供を卑下しない心得 HONEST

例えば、私も日本人なのでよくやってしまうんですがこんな会話ってよくありますよね。

息子君、こんなことできるのすごいね~
アティカ
アティカ
いやいやそんな、つい最近できるようになったばっかでまだ○○とかはできないんですよ~

私自身も子供の頃こういうのを目の前で見て、自分は親から何かをできないと認められない今のままでは不十分なんだという風に子供心に私も傷ついたことがあるのを覚えています。普段私には直接言わないけど、そうかそれがママの本音だったんだ!と当時思ったのを覚えています。

これは気を付ければすぐにできることなので、子供がありのままの自分を受け入れてくれる場所が家族であるという意識を持つためにも、もしこんなシチュエーションになったら素直に「ありがとう、そうやって言ってもらえてうれしいね~」と息子と目を合わせようと心に決めています。本当は、自分の子が褒められたら嬉しいんだから素直に受け止めないとですよね!

夫婦で協力して体制を作る COOPERATION

つまり、私と旦那も喧嘩をしたり、親と子で隔たりを作ることはしないようにしています。

なぜなら、大事なのは”家族”という社会最小の単位で無条件に帰ってよい場所があることだからです。

ママはパパのことが好き、パパはママのことが好き、ママとパパは自分のことが好き、自分もパパとママが好き、このうちのどれも欠けないようにしています。

アティカ
アティカ
たまに、パパの世界で一番大事なものはママだよなんてロマンチックなことを言うパパも世の中にはいるらしいですね。それは…あ、あれ?それはそれで…うらやましい…?笑

家族・実家という単位を社会最小の単位だと考えたときに、その単位の中のバランスが崩れると子供は帰る場所をなくしてしまいますよね。

旦那とも話し合い、もし間違えてしまったときはきちんとお互い謝るようにしています。

最後に

旦那が言っていたのですが「その文化の中で生活しているときは、胸を張って言える故郷がどこにもないなんて思いもしなかった」そうです。

例えば、アメリカの頃に地元の公立校に通ってはいたけど、週末は台湾人学校などの台湾人コミュニティに所属していて、そこはサードカルチャーキッズの宝庫のような場所だったみたいです。皆がサードカルチャーキッズなので特にそのころは疑問に思ってなかったけど、自分が社会に出たときに実は故郷と言える故郷がないということに初めて気づいたそうです。

いつか子供がこんな壁に当たったときに、胸を張って私の故郷はここだよー!と言える環境づくりを、ちょっとした工夫で親である私たちがしてあげられるといいですよね!

  • サードカルチャーキッズは自分の中で第三文化を作り上げた子供
  • 帰国子女もサードカルチャーキッズに含まれる
  • 大人になるとアダルトサードカルチャーキッズと呼ばれる
  • 故郷はどこかと聞かれると質問に詰まりやすい
  • 私の旦那は実家の場所を故郷だというようにしている
  • 私は無条件で帰れる故郷を作るため「大好き10回の魔法」「人前で卑下しない心得」「夫婦での協力体制」を重視している